新しいフルート買いました!Part 5 最終回 - フルート(超)練習法!吹き方・音楽理論・情報など・・・

新しいフルート買いました!Part 5 最終回


新しいフルート買いました!Part 5

新しいフルート買いましたエピソード4の続きです。

今回で最終回にしようと思います。


なので、今回は僕が最終的にどのフルートを買ったのかをお話します。

その前に、先回お話し出来なかったヘインズとパウエルのお話をします。


ヘインズとパウエルはどちらもボストンに工場があるメーカーでどちらもお隣同士のメーカーなので、ムラマツとミヤザワのように、作りや音色なんかも似ているのではないかと思っていたのですが、今回両方のトップモデルを吹き比べてみて、ヘインズとパウエルは水と油ほど個性の違うメーカーだと感じました。


ヘインズのフルートはムラマツのフルートといろんな面で似ているように思いました。

というか、ムラマツがヘインズを真似してと言うか良い意味で意識して作っているのではないのかなと感じました。


今回、ヘインズとムラマツを吹き比べて見てどちらが良いと感じたかというと、ムラマツです。

どっちもどっちといった感じなのですが、ムラマツのほうがわずかに作りのよさというようなものを感じました。音色に関しても僕はムラマツのほうが良いと言うか、自分好みに感じました。

次にパウエルですが、パウエルは日本のメーカーのどこと似ているかというと、どことも似ていないと感じました。

パウエルは、パウエル独特の音がします。

ムラマツや、他の日本製のフルートと比べると楽器の作りが少し雑なように感じます。

雑と言っても、キーにガタツキがあるとかそういうレベルではありません。

何となく、そう感じるというレベルです。



音色も、あまり緻密な感じがしなくて、どことなく抜けた感じがします。

でも、ものすごく心地よい抜けた感じの音のです。

あえて極端な表現をすると尺八のあの風を切るような音が混じった感じのほんの少しだけハスキーな感じの、音色なのです。

少しザラザラしたジャズシンガーの声のような、とても魅力的な音色です。

あえて言うならば、ヘインズはオペラ歌手の声、パウエルはジャズシンガーの声という風に違いを例えられるのではないかと思います。

今回、10本以上並べられた世界の最高級フルート(総銀製)の中で、パウエルだけが飛びぬけて個性的な音がしていました。

そして、友人とお互いに目隠しをして、どのフルートが一番魅力的な音か1本を選び出すことにしました。

その結果、お互い選んだNo.1は二人ともパウエルという予想外の面白い結果が出ました。

本命のプリマ・サンキョウが何位になるかという実験はしませんでしたが、多分3位か4位くらいだと思います。

サンキョウは楽器店のような環境の中で吹き比べをすると、第一印象でパワーで負けるところがあるのでせっかく良い音がするのに、不利な立場にあるなと少し同情しました。


そして、その後でお店の人がもう一本フルートを持ってきてくれました。

それは、今回僕が買おうと思っていたタイプのフルートではなく、金のフルートでした。

金と言っても楽器全体が金ではなく、金と銀とがほぼ半々?の割合で作られている、オーラマイトと呼ばれる、特殊な技術で作られたものでした。

メーカーはパウエルです。銀の上に金メッキをしたものはどのメーカーにもありますが、このオーラマイトという技術はパウエルの特許で、金の板と銀の板を張り合わせて一枚の板にしてそれをパイプ上に加工して、表面が金のフルートのように作ったものです。

このフルートは、金メッキのフルートと違い、多少傷がついても金メッキが剥がれることはありません。

持った感じ、実際総銀製のフルートと比べて、ずっしりと重い感じがします。

そして、吹いたときの音色は、ものすごくパワフルで全音域で吹きやすいです。

よく、金のフルートはパワフルだけど音を出すのが難しいということを聞きますが、このフルートは総銀製のどのフルートよりも音を出しやすいと思いました。

楽器をケースから取り出して、組み立てて吹いた一発目から本来のパーフェクトな音が出せるといった感じです。

つまり、ウオーミングアップが一切必要ないといった感じなのです。

逆に言うと、30分ウオーミングアップしても最初の一発目の音とあまり変わらないという、良いのか悪いのか分からない、問題といえば問題があります。

でも、ウオーミングアップ無しで最初の一発目から楽器が完全に響いた音が出せるというのは、本番で演奏する時にはものすごく重要なポイントだと思います。

たいてい本番での環境では、ほとんどウオーミングアップをする時間や場所がないところが多いのが現実だと思います。

そういう環境では、20分も30分もウオーミングアップをしないと本来の良い音が出せないというような楽器だと、本来の良い音が出せるようになる前に、演奏が終わってしまうという結果になってしまいます。

これでは、せっかく良い音が出せる楽器でも本番でその本領を発揮させることが出来ないと言うことになれば、それは悲しいことですね。

そういう意味では、このパウエルのオーラマイト製のフルートは本番に強いフルートだといえます。

音色は、パウエル独特のちょっとハスキーで荒削りな感じは銀と同じですが、総銀製のフルートと比べるとものすごくパワフルで、大きな音を出すことが出来ます。

これが金のフルートの音の特徴なのかなと思いました。

そして、このフルート僕も友人も、ものすごく気に入りました。

そして、パウエルの総銀製のフルートと、オーラマイトの金のフルート、どちらが良いか何度も目隠ししながら、吹き比べてみました。


どちらも、かなり音色は違うのですが、どちらが良いか結論を出すことが出来ませんでした。

そこで、お店の人にそのことを話すと、それなら2本とも家に持って帰って、1週間くらいじっくり吹き比べてみてはどうですかと言われました。

エッ!本当に2本とも家にもって帰っていいのですか?

ええ良いですよ、このフルートには保険が掛かってますから・・・。


ということで、総額200万円以上のフルートをナップサックに突っ込んで危険なニューヨークの街を駅まで歩いて行く時には、流石にハラハラ・ドキドキでした。

なので寄り道もできず早足で歩きました。



無事、事故なく家に帰ってさっそく二本パウエルのフルートと僕のヤマハのフルートを吹き比べてみました。

 
パウエルの金のフルートを20分ほど吹いた後でヤマハのフルートを吹いてみると、音が詰まった感じで、全然まともな音が出せたいのには驚きました。

5分以上ウオーミングアップしてやっと低音とかの音がまともに出せるようになりました。

ヤマハのフルートだけ吹いているときには、全然パワー不足は感じませんでしたが、金のフルートを吹いた後で、ヤマハを吹くと音がとても貧弱に感じました。


そして、僕は今までこんな吹きにくいフルートを、テクニックを駆使しながら吹いていたのかと驚きました。

ヤマハのフルートをしばらく吹いた後で、パウエルの金(オーラマイト)のフルートを吹くと、息を吹き込むだけで勝手に音が出るような感じがします。

最低音の「シ」の音も全く努力なくバカみたいにでかい音で鳴らすことが出来ます。

これは、ムラマツのフルートが低音が良く鳴るというレベルとは全然違います。

バカがつくほど良く鳴ってくれます。

で、この金のフルートの難点は何かというと、音が出過ぎて、微妙な細かい音色のニュアンスが付けにくいと言う事です。

それ以外に文句の付け所はないです。

まあそれが問題だと感じる人にとっては、物凄い問題だと思います。

なので、こんな感じの音嫌いだと言う人にとっては物凄く嫌いに感じるかもしれません。

特に、フルートは総銀製以外はフルートの音じゃないと信じ込んでる人たち・・・・。


外観的にも本体と頭部菅はローズゴールドのものすごく綺麗な金色です。キーのメカニズムは銀で出来ているので銀色です。

そのコンビネーションの組み合わせの色は、ソリッドゴールドのフルートより色にメリハリがあって綺麗だと思います。

それから毎日、近くにある教会や、学校のコンサートホールなどにこっそり忍び込んで、友人や他の人を連れて、いろんな環境でパウエルの二本のフルートを吹き比べました。


結論は、この二本のパウエルのフルートどちらも買いたいでした。

でも、問題の予算はどちらか一本買うのがやっとなので、涙を呑んで一本に絞らなければなりません。


値段的には、パウエルの中古の総銀製のフルートの方がオーラマイトの金の新品より4000ドルほど高いのです。

パウエルの中古の銀のフルート値段が高いだけあって、これまたものすごく良い音が出ます。

吹き込めば吹き込むほど、微妙な味わいのある変化にとんだ音が出せるのです。

そういう意味では、僕のヤマハと似たところがありますが、基本的な音色が違います。


ヤマハのようにカチッと詰まって精密で緻密な感じの音ではなく、気が抜けたようなサラサラ、スケスケ、の音でありながら、ものすごく高級感と気品のあるなんともいえない絶妙な音です。

でも、この絶妙な音色を出すためには30分くらいのウオーミングアップが必要です。


パウエルの、金と銀のフルートを交互に短い時間で吹き比べると、金のフルートの方が圧倒的なパワーと音色で、軍パイが上がります。

1週間そういうことをいろんな環境で吹き比べた結果、最後に総合的な結果で決断したのは・・・・・

オーラマイトの金のフルートでした。


何故かと言うと、僕は銀のフルートは既にヤマハを持っている、というのが一番大きな理由となりました。

ヤマハとは、違った音色のフルートを吹きたいというのが、今回フルートを買い換えたいと思った一番の理由だからです。

そういう意味では、パウエルのオーラマイト9k、(14kのもあります)のフルートは僕の持っているヤマハのフルートとは全く音色と性質の違うフルートでありながら、予定した予算内で買ええるという条件を満たしていたからです。

銀のフルートと同じ値段で金のフルートを吹いてる気分になれます。


モデル名は、「Handmade Conservatory Aurumite (9k gold+silver) B Foot」です。

どんな音かというと(下のURLで試奏しているのを聞いて下さい)こんな感じの音です。

まあもちろん、吹く部屋の環境や人によってかなり変わってきますが、響きのない部屋で聞いた感じは
こんなところです。


http://youtu.be/LXXnq7Vl3Hw?hd=1

http://youtu.be/x02xtrtlCAE?hd=1




それと、これは買った後で発見したブログでの記事ですが・・・ 

この方どこかのオーケストラの指揮者をしていて、フルーティストでもある方だそうです。

その方が、パウエルのオーラマイトのフルートを絶賛しておられるので、嬉しくなりました。

興味のある方は、この記事ぜひ読んでみて下さい。


>>リンクはこちらです


以上長くなりましたが、僕が今回買った新しいフルートを購入するまでのいきさつとエピソードのお話しでした。



今回の吹き比べ体験で感じたまとめとして、最後に一言付け加えておきたいことがあります。

それは、フルートの音質や音色の違いは、メーカーの違いよりも材質や作りの違いなどによる個体差の方が大きいと言うことです。

メーカーのイメージの先入観や材質や値段で選ぶのではなく、楽器一つ一つを良く吹き比べて見て決めるべきだと強く感じました。


これから、新しくフルート を買いたいと思っている人の何らかの参考になるとうれしく思います。




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今晩は。初めて投稿させて頂きます。フルート歴十五年ですが、永遠の初心者です。本来、この記事を読んでコメントを書ける実力ではありません。ただ、先生と同じような経験をしましたので、書き込みせずにいられなくなりました。この記事が書かれたのとほぼ同じ時期です。大阪のドルチェ楽器で、フルートの試奏会がありました。そこで、たくさんのフルートを吹く機会に恵まれました。ムラマツとヤマハがありませんでしたが、他はおもなメーカーのフルートが有りました。三響のピュアシルバー、パール、ミヤザワの総銀、パウエルの、木管、名前は忘れましたけど、総銀のハンドメイド、19、5金ハンドメイドが、ありました。他にもいろいろありましたけど、上記が印象的でした。さすが、パウエルの代理店です。パウエルのラインナップが充実していました。早速試奏にトライすることにしました。ちなみに。私の楽器は、最初ミヤザワの菅体銀リングキーでした。.若い頃、神戸ヤマハにフルートを買いに行くと、楽器店の奥からl、プロおwbps
Posted by 松田千尋 at 2021年06月03日 21:17
今晩は。初めて投稿させて頂きます。フルート歴十五年ですが、永遠の初心者です。本来、この記事を読んでコメントを書ける実力ではありません。ただ、先生と同じような経験をしましたので、書き込みせずにいられなくなりました。この記事が書かれたのとほぼ同じ時期です。大阪のドルチェ楽器で、フルートの試奏会がありました。そこで、たくさんのフルートを吹く機会に恵まれました。ムラマツとヤマハがありませんでしたが、他はおもなメーカーのフルートが有りました。三響のピュアシルバー、パール、ミヤザワの総銀、パウエルの、木管、名前は忘れましたけど、総銀のハンドメイド、19、5金ハンドメイドが、ありました。他にもいろいろありましたけど、上記が印象的でした。さすが、パウエルの代理店です。パウエルのラインナップが充実していました。早速試奏にトライすることにしました。ちなみに。私の楽器は、最初ミヤザワの菅体銀リングキーでした。.若い頃、神戸ヤマハにフルートを買いに行くと、楽器店の奥からl、プロとおぼしきおじさんが出て来て、ミヤザワの総銀リングキーにしなさいとおっしゃるので、素直に信じて購入しました。1978年でした。ミヤザワが設立した頃と思います。明るい音色でした。五年程吹きました。これを入れると、20年程のフルート歴になリます。長い中断の後、再開しましたけど、師匠がサンキョウ贔屓でしたので、サンキョウの18金セミハンドメイドリングキーを購入して、今に至ります。さて、試奏しますと、サンキョウが、かなり派手な音色ですので、パールは、暗くしずんだ音色でした。ミヤザワも、サンキョウのピュアシルバーも素直な音色に聴こえて来ました。パウエルの木管も、ポーといった音色でした。最後にパウエルの19、5金ハンドメイドリングキーを吹いた時、天国に登るような心地になりました。派手ながらも、芯のある深い音色でした。あの音色は、10年経った今でも忘れることができません。値段が一千万円近いので、手が出ませんでした。この経験から、先生の記事を読むにつけ、パウエルを迷わず選択されると確信しました。その通りになりましたので、あの時を思い出しました。
Posted by 松田千尋 at 2021年06月03日 23:32

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