パウエル、9kオーラマイト製フルートの修理
最近僕が買ったパウエルの9kオーラマイト製のフルートなんですが、2箇所ほどキーから少しエアーが漏れる
ようになったのと、ヘッドジョイントをぶつけて少し凹みが出来てしまったので、修理に出すことにしました。
まだ買って1年以内なのでキーからのエアー漏れは無料で修理してくれるはずなのですが、自分でぶつけて
凹ませてしまった所の修理代がいくら掛かるか心配でした。
でも、今回はまだ新しいフルートで補償期間内だと言うことで凹みの修理も全部無料でしてくれました。
気を良くしたので、マンハッタンからの帰りにいつも行く日本のスーパーマーケット、ミツワに行って
日本食品を予定していた以上にたくさん買い込んでしまいました。
パウエルを買ったお店はマンハッタンのセントラルパークの南端コロンバスサークルのすぐ近くにあります。
もしいつかニューヨークに来たときに、このお店に行ってみたいと思ったときには目印にして下さい。
このフルートセンターというお店は、名前のとおりフルート専門のお店です。
基本的にはフルートの上級者やプロフェッショナルな人だけを相手にしているお店です。
プロフェッショナルなレベルのフルートを買いたいと思っている人には最高のお店だと思います。
マンハッタンにあるフルートを売っているお店にはほとんど行きましたが、僕はこのお店が一番
気に入っています。
お店は雑居ビルの中にあるのですが、一階のコーナーにはスターバックスがあるのが目印です。
ズラッと沢山並んでいるだけです。
その中のドアの一つに「フルートセンター」と言う名前が書いてあるのでそれを探します。
やっと見つけて、ドアを開けると今回は学生アルバイト風の小柄な女性(ジュリアードの学生?)が
出迎えてくれました。
来ることを電話で予約して来たのですぐに修理に取り掛かってくれました。
(色んなフルートを試し吹きして見たいとか言う場合には、数日前に予約を入れていかないと、
よほどタイミングがよくない限り、他に予約客がいると試し吹きさせてくれないと思います。
売り場が狭く試奏室が一つしかないからです。)
キーの修理よりヘッドジョイントの凹みを直す方が簡単だと言って、ヘッドジョイントの修理から始めてくれました。
リペアのおじさんは話しをするのが好きな人のようで、修理をしながら、どこに住んでるんだとか、
何をやってるんだとか、いろんなことを聞かれるので、こちらもいろんなことが聞きやすい人です。
以前、このパウエルのフルートを買ったときの記事でも書きましたが、このリペアのおじさん
ヘインズや日本のサンキョウなどで長年働いていたことがあるベテランなので、
フルート業界の色んな裏話を沢山知っていて、業界内のトップシークレット的な内容なんかも
いろいろ教えてくれたりしてすごく面白い人です。
ちなみに、彼はオーケストラでフルートの演奏をしたり、ジャズバンドなどでサックスを吹いたり
なんかもしているそうです。
日本では、サックスやフルートををプライベートで教えていたりもしていたそうなので、
リペアーマンであると同時にミュージシャンでもあるんですね。
修理には1時間ほど掛かりましたがその間、昔からの知り合いだったかのように色んな話しをしました。
日本の楽器店では、よほどの常連客にでもならない限り、こんな風に気楽によもやま話しは出来ないですよね。
英語だと、初対面でも敬語なんかを使って話さなくていいので、見知らぬ人と話しをするのは日本語より
楽なところがいいですね。
それと、もちろん人にもよりますが、一般的にフレンドリーな人が多いのがアメリカのいいところでしょう。
本当は今回彼が話してくれたフルート業界のトップシークレットなことなどもここで紹介したいのですが、
それが原因で彼に何かまずいことが起こると申し訳ないので、ヤバ過ぎる事は書かないでおくことにします。
また別の機会に、彼から聞いた話しでは無いかたちで紹介するかもしれません。
今回はトップシークレットとまでは行かない話しで、面白いなと思ったことを少しお話しします。
最近発表されて日本で話題になっている?、ヤマハのニューモデル・イデアルについてどう思うか?
と彼に聞いた所、「イデアル?何やねんそれ、」 と逆に聞き返されてしまいました。
まだ聞いたことないですか??」
彼: 「うちの店じゃ、YAMAHAは取り扱ってないし、オレはYAMAHAは嫌いなんじゃ・・・・興味ないな・・」
とハッキリ言われました。
YAMAHAの音は面白味が感じられんから、つまらん・・・。
だけど、そういや〜この前オーナーがうちもYAMAHAとディーラーの契約をしたみたいなこと言ってたな~
え〜、一ヵ月後くらいになると思います。
とのことでした。
なので、このお店でもたぶん近々YAMAHAのイデアルの試し吹き、させてもらえるようになると思います。
YAMAHAには全然興味が無いという感じで、・・そうそうオレ来週久々に日本のムラマツの工場を
見学に行くことになったんだ・・・と、すぐにムラマツの工場への出張の話しに話題を切り替えられました。
(ムラマツでの話しはちょっとやばいのでここでは書かないことにします。)
そのあとで、
個人的にはどこのメーカーが好きなんですか?と聞いたら、オレはパウエルは好きだな・・・。
ヤマハの音は嫌いだと言う意味は僕も良くわかるのですが、面白いと思ったのは
ヘインズやサンキョウではなくてパウエルが好きだと言った所です。
何故かと言うと彼はヘインズとサンキョウで長年フルート作りをしてきた人だからです。
僕も、ヤマハの音色に惚れ惚れするような特別な感情を感じることはあまりないのですが、
ニュートラルな音作りのよさと言うものは感じることが出来ます。
そういう意味で、ヤマハのフルートはやっぱりそれなりにいいフルートだなと、
パウエルを買った後の今でも思います。
それはヤマハのピアノや他の楽器の音色にもいえますし、ステレオなどの音響機器にも
共通して言えることのように思います。
NS-10M(通称10モニ)というレコーディングスタジオ用のモニタースピーカーでしょう。
あのブックシェルフ型の小さなスピーカーは一時期は世界中のほとんどのレコーディングスタジオの
ミキシングボードの上に必ずと言っていいほど、ちょこんと置かれていました。
小さくて、真っ黒の箱にウーハーのスピーカーコーンの色だけが真っ白なので音楽雑誌などで
レコーディングルームの写真が載っていてNS-10Mがあるとすぐわかるのです。
巨大なスピーカーが何台も置いてあるようなレコーディングスタジオに何故あんな3万円ほどの
安い小さなNS-10Mが置いてあるかと言うと、世界中で一番個性的な音がしないという個性?を持った
スピーカーだからなのです。
豪華な音がする超高級スピーカがいくつもある中で、ニュートラルでフラットな標準的な音色を
チェックするために使われるのが、NS-10Mというスピーカなのです。
ただ、この定番のモニタースピーカー、10年ほど前にワシントン条約でスピーカーコーンの材料のパルプが
輸入できなくなって、やむおえず生産中止になってしまいました。
でも今でもヤマハのNS-10は世界中のレコーディングスタジオで使われています。
ところが、家庭用の趣味として聞くためのステレオス用のピーカーとしてはNS-10は面白味が全く
感じられない、つまり、ドンドン、シャリシャリという感じの味付けが感じられないので、
つまらないスピーカーだと感じられるわけです。
なので安くて、音響特性が抜群に良いのに家庭用としては全然人気がないんですね。
なので一般のオーディオマニアはNS-10Mの存在すら知らないと思います。
このスピーカーで、個性的な音を出してやるには、ハイパワーなプロ用のアンプを使い、
イコライザーなどで音源を工夫して個性的にしてあげないといけないので、平均的なポシャイ家庭用アンプ
しか持っていないオーディオマニアにはNS-10Mで魅力的な音を出させることが出来ないのです。
でも、実はそれをやってあげればNS-10Mでも、かなり個性的なハイクオリティーな音を
出させることが出来るのです。
NS-10Mで良い音が出せるようになると一流だと言われているようです。
この辺りの音作りのコンセプトが、僕の持っているヤマハのフルート800とそっくりのような感じがしています。
ヤマハのフルート、普通に吹くと普通のつまらない音しか出ないです。
でも色々工夫して吹いてやると、えっ!これほんとにヤマハのフルート?と思わせるような音も実は出せるのです。
でも難しいです。
フルートの場合、学校のブラスバンドなどでは個性が強すぎる楽器が混ざると統一感が無くなるので、
クオリティーがそこそこ良くてあまり個性的でない楽器の方がいいわけですね。
そういう観点から見るとフルートに限らずヤマハの楽器で統一するのが一番良いということになるのかなと思います。
だから、学校のブラスバンドなどでは安くてそれなりに良い音が出るヤマハの楽器が
一番沢山使われているのは納得できます。
フルートはムラマツじゃ無きゃ駄目と言う事でムラマツで統一されていました。)
でも、ソロの演奏家の場合、話は全く逆になりますね。
好まれないと言うことになるようです。
ヤマハのフルートは個性や色味が感じられない、面白くない、イコール嫌いと言うことになる
と言うのは、これまた納得できることだと思います。
僕もヤマハの個性のない音の呪縛から何とか、抜け出したいと思ったので、パウエルを買ったわけですからね。
その点、パウエルの音はリキミがなく、どことなく微妙に間抜けな感じがします。
間抜けと言うのはアホという意味ではなく、中身が詰まっていないと言う意味です。
さらっとした、ドライな感じのする音色だと思います。
もちろんいい意味でです。
なので音階を吹くだけでも何となくリラックスして楽しい気持ちにさせてくれる所があるんですね。
ヤマハの音は間が抜けたところが無いので、密度があり過ぎてリラックスできなくて、
吹いていても聞いていてもちょっと疲れる感じがします。
この微妙な違いは見た目やメカニカルなレベルでは、どこからその違いがでてくるのか全く解からないですね。
また全然別の例を出して申し訳ないですが、話を見えやすくするために、
しいて強引にバイクの例で話しをします。
ヤマハとパウエルの音の違い、ヤマハのバイクとハーレー・ダビットソンの設計思想の違いのような
ものに似てるなと勝手に思っています。
メカの性能と言う点で比較すると、ヤマハのバイクの方が誰がどう見てもハーレーよりはるかに優れていますよね。
スピードの競争をすればヤマハが絶対勝ちます。
でも、趣味性という観点から見ると、ハーレーの方がはるかに魅力を感じます。
大人になればなるほど、ハーレーの方により魅力を感じるようになる人が多いと思います。
日本の大きなフルートメーカの魅力の違いは、ちょうど日本のバイクメーカの違いくらいしかないように思います。
ホンダもスズキもカワサキもハーレーの個性と比べるとみんな同じに感じてしまいます。
クオリティーの高い音が必ずしも魅力的な音だとは言えないけど
でも、クオリティーの高い音は誰が聞いても悪い音だとは言えないです。
そういう意味で、ヤマハのフルートの音は、ヤマハのバイクのエンジン音のように、
クオリティーの高い、良い音がすることはだれにも否定できないでしょう。
好きか嫌いかは、人それぞれだと思います。
今回は、ヤマハやそれ以外の日本のメーカーのフルートと、パウエルというアメリカのフルートの
音作りの違いがどこにあるのか考えてみました。
もちろんこれは、あくまで僕が現時点で感じていることで、これが普遍的に正しいとか、間違ってる
とか言うようなことではないです。
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私もパウエル コンセルバトリー吹いてます。
来月NYで他のメーカーを試して見たいんですが、
NYフルートセンター以外のお店はご存知でしょうか。
フルートセンターしかしらないので…
もしご存知でしたら教えていただけませんでしょうか(*^^*)
質問にお答えします。
NYCの中でフルートの専門店はNYフルートセンターともう一つはThe Weissman Music Companyの二つだけだと思います。
あとは、多分ご存知の有名な48th streetの楽器屋さん通りにあるサムアッシュやマニーズなどの楽器店お店を回って見ることでしょう。
48th streetの楽器屋通りを紹介したブログがあったので紹介しておきます。
http://newyorkcity.blog36.fc2.com/blog-entry-148.html
こちらの楽器店のいいところはアポなしでもいつでも気楽に楽器を見せてくれるところでしょう。
でも、フルートはあまり数が置いていないのでプロレベルのフルートをお探しなら、あまり向いていないと思います。
プロレベルのフルートをお探しなら、やはりNYフルートセンターかThe Weissman Music Companyのどちらかになると思います。
The Weissman Music Companyは最近までマンハッタンにはお店が無かったはずなのですが、今ウエブサイトを見るとマンハッタンにもお店が出来ているようなので、びっくりしました。
本店は、クイーンズにあって、メールか電話でアポを取ればJFKかラガーディア空港まで送り迎えをしてくれるサービスがあります。
僕は、こちらのお店にはまだ行ったことがないので、ハッキリとはいえませんが、NYフルートセンターとほぼ同等の良いサービスをしてくれる信頼できるお店だと思います。
僕もその内、マンハッタンのお店のほうには行ってみたいと思っています。
ウエブサイトはこちらです。
http://www.jbwflutes.com/default.asp
では、ニューヨーク旅行楽しんで下さい。
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